ボディ補強がもたらしたもの
宮「石さん。俺はクルマが好きで、ずっと車雑誌を欠かさず読んで、その知識だけは誰にも負けないと思ってきた。ボディ補強なんてダメだと思ってたし、それを得意げにブログに書いたりしてさ。」
石「自分も同じようにNAVIやCGを読んで育った世代よ。だからすごくわかるよ、その気持ち。仕事でも構造とか剛性とかかかわったから余計にね。」
今朝は風がいつもに増して冷たい。缶コーヒーを握りしめる。
宮「ふと考えるよ。俺はなんでこんなにクルマに入れ込んでるんだろうって。」
石「・・・・たぶん自分らは似てるよ。突き詰めないと気が済まないタイプ。」
宮「・・・・・かもしれない。」
さて、リアにピラーバーを入れたスイフトスポーツは我々に何をもたらしたのか。
一つは偏見を捨てることだった。
「スイフトは世界戦略車。膨大な開発費をかけ、CAD解析をして、効果的に高張力版を使って、剛性は考えつくされているはずだ。素人が補強してどうするんだよ。」
実はずっとこう思ってきた。
石氏は仕事の現場で一部分の剛性を上げるとほかにしわ寄せがいくことを知っていたのでバランスをとるのが難しい、と考えていたようだ。
しかし、ピラーバーで明らかにリアサスの挙動が落ち着き、走りやすくなったことを受けて、考えを改めることに。
そもそも足回りを交換した時点で「ノーマル車」ではなく、ノーマルのバランスは失われてしまっていたのだ。
そのことに気付くのにずいぶん時間がかかってしまった。
2つ目は新たな次元が見えてきたことである。
今までリアの挙動を落ち着かせるためにリアの減衰力を弱く設定してきたが、ボディがしっかりしたおかげで本来の足の性能が出せるようになったのではないか。
まだセッティングは詰められる、という可能性が出てきた。
朝練を通じて
帰り道。さっき石さんと話していたことを頭の中で繰り返していた。
「俺は、このスイフトスポーツに何を求めているんだろう。」
10数年ぶりにクルマに夢中になるオヤジ。
家族のため、子どものため、仕事。仕事。仕事。
疲れた体を引きずって過ごす休日。
本当はそんな生活嫌だと思っていた?自由が欲しかった?
もしかしたらクルマに自分を重ねている?
羽ばたけなかった自分に翼を与えるために。
でも、またそこで我に返るのだ。
このつかの間の自由は家族あってこそ、だ、と。
家に帰れば子どもたちと買い物に行く約束だった。
ステアリングを握る手に力がこもる。
つづく ~次回最終回~
自動車物書きユニット MetabonZ。
理系と文系の著者による「わかりやすさ」「読みやすさ」を目指したブログです。
豊富なクルマ遍歴と謎の知識量。日々頑張ってます。
Metabon宮 Metabon石