お悩み相談コーナー vol.2
Metabon石です。
早速ですが、当ブログ読者で千葉県にお住まいの匿名希望さんからメールを頂いたのでご紹介します。
ホイールを社外品に変えたんですが、ツライチにしたいとおもっています。調べたらホイールスペーサーやワイトレを使ってなんて出てきましたが、そもそもそれってどうなんでしょう?値段もピンキリだし、種類も沢山あってよくわかりません。もしなにかおススメのありましたら教えてください。
ハイ!出ました、ツライチ!
ご相談ということでお答えするが、個人的見解になることをお許し願いたい。
まず、自分自身ツライチには全く拘っていない。
理由は簡単。ちょっと引っ込んでる面内(ツラウチ)の方が好みだから。
いや、好みとか好みじゃないという問題ではなく、適正アライメントを重視しているのだ。
よって、ホイールスペーサーを使うとか、ましてやワイドトレッドスペーサーなる物は全く想定にない。
という事で!!
見た目重視であれば(ファッションツライチ)お好きなのどうぞ~!
では、あまりにもなので相方のMetabon宮氏に相談したところ、逆に問いかけられた。
「そもそも、なんでにツライチに拘るのかね?ツライチ~、ツライチ~って」
まず、そこからですかね??
面一(つらいち)って、何かね?
面一とは、二つの面の間に段差がなくフラットな状態の事。
車に於いてはドレスアップ用語として、ホイールとフェンダーの面がそろっている事をいう。※車の改造におけるツライチという表現を最初に公にしたのは雑誌「ヤングオート」だそうです。
ドレスアップ。。。
見た目至上主義、美の追求、カッコよさの具現化の何がいけないんだ!!
確かにわからなくもない。
しかしだ。
ただ単に、ドレスアップの為に、見た目だけの為にツライチを狙い、ハブとホイールの間に噛ませ物をすることが本当にカッコイイことなのだろうか?
【逆にカッコ悪くないか??】
言い過ぎ??
でも、どうせツライチを狙うなら、噛ませ物ではなく、ホイールのインセット(オフセット)で狙いたい。
本当にかっこいいとはこういうことさ
タイヤを太くしなきゃいけない理由があって、その車が物理的に履ける限界の太さまで攻めた状態。当然、フェンダーぎりぎりになるはずだ。
「うぉぉ、ぶっといタイヤ~!!すげーーーフェンダーギリギリじゃん!!」
これが、本当のツライチ。
ちなみにタイヤの太さを限界まで攻めるとは?
通常、タイヤはメーカーが吟味したスペック(サイズ)で、各部のクリアランスを充分確保したレイアウトとなっている。当然、フェンダーにたいしても余裕をとっている。
ここに、めいっぱい太いタイヤを突っ込む。トレッドは変えず。
結果ツライチ。
それに対し、スペーサーとかワイトレを使うというのは、下図に示すように、タイヤを外にずらした状態になる。
これにより、実はトレッド変化をもたらし、アライメントが変わって(狂って)しまう。
その影響ついては次項にて説明する。
スクラブ半径と操舵特性
スクラブ半径とは、タイヤの中心線の接地点と仮想キングピン軸の接地点までの距離を言い、このスクラブ半径は車の操舵特性に大きく影響する。つまり、ホイールのオフセット変更や、スペーサー、又はワイトレ装着により操舵特性が変化してしまう。因みにこの場合は半径が大きくなる方向なので、
1)ハンドルが重くなる
2)外乱(路面の凸凹や轍)にハンドルを取られやすくなる
と言うのを覚えておいた方が良い。
また、動特性にも影響がある。
スクラブ半径が大きくなると、走行中タイヤが内側又は外側に向かおうとする力が働く。
おわかりだろうか?
スクラブ半径を大きくしても良いことは何一つ無いのである。
また、ハブやハブベアリングへの負担も増える為、寿命が短くなったり、極端な場合は破損のリスクが伴う。
とはいっても
リスクやデメリットを知った上で、それでもヤルんだ!というのであれば、反対はしない。そもそもカスタムは自由である。※何をやっても良いというものではない
何も知らずに安易に手を出して、問題が起きて後悔するのと、知っててやるのでは違う。リスクやデメリットを理解していればそれによる異変にいち早く気づくことが出来るからだ。
ということで、大変前置きが長くなったが、
スペーサーにはどういうものがあるか?
1)ホイールスペーサー
ハブとホイールの間に挟み込む円盤状のもの。
だいたい3mm~10mmくらいまである。
目的は、もう少しホイールを外に出したい、ホイールとキャリパーの干渉を避けたい等、ちょっとした微調整や一時的に干渉を避ける為に使う。
正規のホイールを買うまでの間等、限定的な使用に留めたい。
<選ぶ上でのポイント>
安く売られているいい加減なものではなく、両面に機械加工が施され、寸法管理がきちんとされ、面粗度も適切な物を選ぶ。
<使用に際しての注意点>
スペーサーの厚み分、ホイールナットの掛かりが浅くなる。目安はナットのネジ部以上スタッドボルトとかみ合う事。そうでない場合はロングハブボルトに打ちかえる必要がある。
2)ワイドトレッドスペーサー
ハブとホイールの間に挟むスペーサーだが、こちらはよりホイールを外に出したい時に使用する物で、厚みがあり(10mm以上)、スタッドボルトを備える。
使い方は、まず最初にスペーサーをハブボルトに通し専用のナットで固定し、スペーサーのスタッドボルトでホイールを固定する。
<選ぶ上でのポイント>
ホイールスペーサーと同様、安く売られているものは使ってる材料や強度特性も不明瞭なものがあるので、名のあるメーカーの物を使用したい。材質についても、アルミよりはスチール製の方が強度上有利だ。もちろん強度保証がされている物が大前提となる。
<使用に際しての注意点>
厚さによっては車輌側のスタッドボルト/ナットがホイール取付面より出っ張ってしまうことがある。手持ちのホイールに逃げがあれば問題ない。また、そもそも自動車メーカーはハブにこういうものを取付け、トレッドを広げることを想定していない。よって小まめに点検をし、異常があった場合には即運行を停止すること。
まとめ
たとえリスクを承知のうえだとしても、MetabonZ的には強度上のリスクやアライメントの変化によるデメリットがあるスペーサー的な噛ませ物は、申し訳ないがおススメできない。
それでもというのであれば、、、ホイールのオフセットで調整していただきたい(ホイールが買い直しになってしまいますが)
*****************
ハイ!ちょっと後味が悪い感じになってしまいましたが、
これに懲りずご相談や質問等を頂けましたら幸いです。
自動車物書きユニット MetabonZ。
理系と文系の著者による「わかりやすさ」「読みやすさ」を目指したブログです。
豊富なクルマ遍歴と謎の知識量。日々頑張ってます。
Metabon宮 Metabon石