実を言うと、最近大きく変わった事といえば、ワタナベでもPOTENZAでもなく、まだここに公にしていないEDFCのセッティングだったりします。
更新滞っている間に、はよ続き書け!とか、EDFCのセッティングについての問い合わせだったりとか、何件かお便りを頂いております。ありがとうございます。
Contents
やはりEDFCは楽しい!
丁度、世間は新型コロナウィルスによる自粛(現在においても油断できませんが)が長期化の様相な頃。
気温もだいぶ暖かくなってきた、と言うか、いきなり夏?!の様な暑さの日も。なんか最近しっくりこないな・・・。
・・・・1)気温の変化
普段使いの通勤と、ホームコースのお山。
プラスして、最近夜景撮影の為、夜な夜な首都高を走る機会が急に増えた。
首都高と言えば高架道が殆どであり、目地(継ぎ目段差)がある。
ここを通過する時に今までにない問題が露呈した。
・・・・2)走行環境の変化
この二つの変化によって、今まで良しとしていた通称Ver1.1では対応しきれていないという事実を痛感する。
という訳で早速本編へ。
今までにない難局を迎える
上記のとおり、きっかけは何にせよ、EDFCのセッティングについては定期的にブラッシュアップを実施しており、まさにこの投稿空白期間に多くの時間を割いておったわけです。
では何故セッティングを改変しているか??
年末の寒い時期に完成した何作目かにあたるVer1.1は、暫くは何の不都合も不満も無い、通勤からホームコースのお山までひとつのメモリーで対応OKな自信作であったわけですが、ここ最近色々気になることも出てきたわけです。それと、やはり宮さんも書いていましたがマンネリ化でしょうか、変化を求めているのかもしれません。
どうもしっくりこなくなってきた、これについては減衰不足を感じる速度域があって丁度その速度域になるとフワフワしてなんか頼りない感じがする。
この問題がハッキリしたのは首都高であった。そう、繋ぎ目の段差。
正直、飛ばす気にもなれないほど。
とはいえ、クルマの変化は特にない。しいて言えば走行距離が増えたくらい。他には、、、気温??そういえば首都高なんて走り込んでなかったな。。。
そう思ったら、自動車開発屋の意地もある。
解決してやろうじゃないの!!という事で、あれこれ始まったわけです。
またもや地道な作業が続く
原因はさておき、現セッティングに対する不満がどの速度域で、且つその時の段数がいくつで、またどのGがどの位発生した時に起こっているのかをで明らかにする必要がある。
この作業は数カ月前にも経験している気の遠くなるような作業だ。但し今回はフルで作るわけではないし、多少ノウハウも得ている。
だいたいで大丈夫(笑)
それを元に、実段数グラフと重ね、どのくらい変化させれば良さそうかを机上で検証、セッティングシートに起こす。
これも、今までの経験が頼りになる。
だいたいで大丈夫(笑)
後はひたすら実走をした上で徹底的に微調整を行い、こうして新たなセッティング、Verが完成した、かのように思われた。。。
そんなに甘くはなかった
今回苦労したのは、ある速度域だけだったこと。
それとやはりデータは一個にしたい、そんな要求(欲求)を加味して、あれこれ試行錯誤を繰り返す。まぁ速度制御は全てやり直しになりますよ。。。
ちなみに速度制御の線形はそのままで、全体的に固くするなら基準段数を弄ればイイだけなんですけどね。(下図①と②の関係)
で、結局えらい苦労しとったわけです。
純正ホイールと溝のないコンチネンタルに戻したりもしてみました。
あれ?それって条件変わっちゃうだろ!!
と思った方は流石です。そん位追い込まれてました。
目から鱗?!
今回、いつもの如く机上で検討してそれを実走して確認をして、軽く手直しをして、なんて軽く考えていたのだけれど、どーもうまくいかない。そんな時、宮さんから「基準段数を、フロント○○、リヤ△△試してみて!」と連絡がくる。どっちも10段以上柔らかい値である。
ええぇ、これじゃもっとポワンポワンになるんじゃ???
そう思いつつ、基準段数変えるだけだしと思って試してみる。
んんんんん??????
何これ?
気持ちイイ!
荒れた路面でもスタスタ動く足。
乗り心地というか当たりが柔らかいのに決してポワンポワンしていない。
数日通勤で使って、グラフを起こす。
なんだこりゃ?!
こんなんで良かったのか。。。
偉く気に入ったので勝手に、Ver1.1【通勤モード】とする。
そのまま首都高を試すと、そつなく走れる。がしかし、ペースを上げるとやはり頼りない、というか正直怖い。
どの位まで下げれば丁度いいか、基準段数で探る。
なるほど。かなり下げたところで答えが出た。
ホームコースお山ではどうか?これまたそつなく走れる。
しかしこれまた首都高同様、ペースを上げるともう少し踏ん張り感が欲しい。
なるほど。
こちらは元々のオリジナルVer1.1が丁度いい。
当然と言えば当然だが流石ホームコースで煮詰めたセッティングだ(笑)
数日後、今の状況を報告すると、今度は基準段数フロント◆◆、リヤ◎◎を試してみてと言う。おいおい、今度はかなり固めジャマイカ。
むむむむ?!
想像ではかなり固く感じると思っていたが、これはこれでアリじゃないか!
当然、旋回G制御や加減速Gは見直さないとすぐに”0”になってしまうが、このくらい大胆に振ってみてもさして不快ではなく、むしろキビキビ感があって気持ちイイ。
やるなブライト。
良いヒントをモラタ。
こうなんだ!と決めつけていた事や、こうあるべきという変な拘りを捨ててみることにした。
結局、適材適所?
いままで、セッティングデータは良くできたもの一つあれば充分と思っていた。実際、冬の間はそうだった。通勤とホームコースでは。
状況が変わった。気温だったり、首都高だったり。
タイヤも変わった。
加減速Gと旋回Gは1パターン。
速度制御(線形)は2パターン。S1(ソフト)とS2(ハード)
基準段数は基本柔らかめの一種類。
ホームコース「お山)のみ外部入力SWにて基準段数下げ。(1点鎖線)
イメージは下グラフ参照。
S1は通勤や普段使い。通称「ユル」。デフォルトモード。
S2は、首都高や高速道路主体の時用。又はスクランブルモード。
お山走る時は、デフォルトモード時に外部入力SW1を押す。これがSTDなVer1.1。
操作はできるだけ簡単、シンプルにしたいと考えこうなった。
適材適所に。これが今回の解決策でした。
因みに、S1でもお山イケマシタ。
(但し、ハイグリップタイヤ要デス)
こうやって時々見直し、新たな発見を得られるのもEDFCの楽しみの一つかもしれませんね。
EDFCセッティングのおさらい
さて、
自動車の乗り心地、快適性や動的性能、操縦安定性、を決める要素って何でしょう?
ざっくり上げると、
①タイヤ
②スプリング
③ダンパー(ショックアブソーバー)
④アームとそのブッシュ
⑤そもそものサスペンションの構造
と、それらが取り付けられている車体
他にもあるかもしれませんが、ざっくり上げただけでもこれだけのものがが関係しており、またそれぞれに役割や特性があります。特にばねやダンパーは緩衝装置の要でもあります。
で、EDFCは乗り心地や操安性に関する緩衝装置の②ダンパーにしか作用しません。
因みに、車体を支えているのは「ばね」です。
衝撃を吸収するのも「ばね」です。
ばねが支配的なんです。
じゃーダンパーは?という事になりますが、ダンパーは振動を吸収する、ダンピングを抑えるもので、揺れを抑え乗り味を左右します。
車重(バネ上荷重)は基本一定です。
ですが、走行状況によってその負荷は刻々を変化します。
その指数が加速度(G)になります。
EDFC active proは、加減速Gと旋回Gを読み取り、減衰力をリアルタイムに変化(制御)しています。
スイフトスポーツという車があって、その車重はばねが支え、そのばねのばね定数と減衰力の関係は、丁度いい範囲(バランスされた点)が各速度にあるはずなんです。
速度制御はこれに当たります。
今一度、ハードを良く知る
車の乗り味を左右するサスペンション。
EDFCをもってしても、組み合わせる車高調(ハード)によって様子はだいぶ変わります。ざっくり言ってしまうと、ハードの性能は超えられません。
車を支えているばね。ばねの特性を示すばね定数と、ダンパーの減衰力の関係も無視できません。ダンパーの構造上の特性もあります。
我々、MetabonZが使用している車高調、FLEX Zについて、すこし掘り下げてみましょう。
FLEX Zは、TEINのなかでもリーズナブルで主にストリート向けな位置づけにあり、ばね定数もわりかし純正に近い低めのレートとなっております。
フロントに関しては一般的なストラット式なのに対して、リヤはトーションビーム式故に、ストロークが取りずらく、短い自由長の中で車高調整機構を持たせつつ乗り心地も担保しなければならないということで、ある程度柔らかめのばねで乗り心地を良くし、強い入力に対しては早めにバンプタッチさせ、バンパーラバーに頼る、という構図が読み取れます。
これが時々感じるリヤの突き上げの強さの原因でもありますが、高速コーナリング時にはそのお陰でリヤのアウト側は安定します。
ここにEDFCの旋回G制御の難しさがあります。
車両(車体)が変わればセッティングも変わる
補強のススメ#8から飛んできた方、お待たせしました。
補強を足して行って判ったのですが、補強の追加によって車体の剛性が上がると、例えばコーナリング時の旋回G制御がそんなに介入しなくても良いのでは?となります。
微々たる変異かもしれませんが、それだけ補強の効果は大きい。
体感的に。
実験的に旋回Gをカットしてみたり、そもそもEDFCをある段数固定にしてみたり、さらに4輪とも64段(最弱)固定としてみたり、最固(0)としてみたり色々やってみました。
結果的に補強によって車体がガッチリすると、それだけで車体が安定するので、辺に制御を入れなくても良いのでは?とさえ思ってしまう時期があったんです(それでも実際は制御あった方が良いですよ)。
極論を言ってしまえば、、、、いや、やめとこう(笑)
何が言いたいのかというと、車体であったり、車高であったり、季節であったり。走るステージ(環境)も大きい。
何か変わればセッティングも【多少】変わるという事です。
変化の方法は制御の強弱であったり、速度制御のカーブであったり。
我々の結論は、速度制御はそのままで、旋回Gの制御を緩くしました(アウト側のGの立ちあがりに対してあまり変化(固く)せず、イン側はより柔らかく、、、という具合です。
まとめ
EDFCを導入したからといって、EDFCのセッティングの商品開発をしているわけではなく、あくまでセッティングを楽しんでいるユーザーなわけです。
自動車工学、サスペンションの基礎、そういうのも必要かもしれませんが、そんなものは時として邪魔になることもあると思います。
所詮、ダンパーの減衰力を可変するだけの事です。
0でも64でも、走れないことは無い。その範囲で、いくつにするか?状況によってどう変化っせるか?ってだけのことなんです。
ばね定数って前:何kgf/mm、後:何kgf/mm?
ZC33Sのばね上荷重は?
発生Gとその時のダンパースピードは?
ロール角は?
ストロークは??
最低限それだけ判ればある程度作りこめそうですが、その最低限の数値すらそろえられないのが我々一般ユーザーであります。
理屈も大切ですが、時には緩く、あれこれやって楽しむ。
そんな懐の深い(ある意味狭い)デバイスなのかもしれません。
自動車物書きユニット MetabonZ。
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