ZC33S コラム

【混ぜるな】T/Mオイル交換+α【危険?】

ついに先日50,000kmを超えました。
ここにはアップしてませんが、エアクリーナーを交換したり、スパークプラグを交換したりと、定期交換部品も含め維持管理を進めております。

是非一度、車検証入れの中に入っている整備手帳をご確認ください。
距離や時間(年数)で定期的に交換する物が書かれています。

まぁ、だいたい12カ月点検や車検のタイミングに合うようになってるっぽい面もありますが、何はともあれ早めのメンテナンスを!(Metabon石)

WARNING!!

本稿で取り上げる内容は、自動車メーカーが指定しているオイル仕様及びオイルメーカーが製造・販売しているオイルに対し、自己判断・自己責任に於いて添加物を添加する内容になります。

従って、メーカーが想定している使用条件から外れることにより、万が一不具合が発生した場合、保証修理の対象外となるばかりか、場合によっては重大な故障・破損に到る可能性があります。

以下、本稿の内容はあくまで実験的ネタであり、自己責任の上一時的に検証したものです。

よって広くこれを推奨するものではありません。

T/Mオイル交換に際し

最近2速、3速の入りが急に悪く(引っかかる)なった気がする。
ついでに、相変わらずのジャージャー音(異音?)が酷くなってきた。

よくよく考えてみれば前回T/Mオイル交換を実施してから数万キロ経過していた。また頻繁に山や高速道を使用していることから、そろそろT/Mオイルでも交換でもしましょうか、の運びとなった。

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通常ならいつもお世話になっているディーラーに予約をとりやってもらうのだが、今回は距離も距離だし、依然ギヤの歯音が騒々しいキイロ号のT/M、どうしても試してみたい物があるため、セルフ交換にした。

その気になる試したい物とは?

添加剤を試す

カー用品店等に行くと様々な添加剤が売られている。その添加する相手は燃料だったり、エンジンオイルだったりだが、オイルの潤滑性能向上を謳う製品が圧倒的に多い。

実は添加剤と一口に言っても、色々な種類がある。
混ぜる物質の物性であったり、それがどのように作用するのかであったり、様々である。

過去の記憶では、エンジンオイルの粘性を下げて(サラサラにして)低フリクション化!燃費向上!!なんていうちょっと怖い代物も実際あった(まだ売ってるかも)。

ワタクシ個人的には、こういった添加剤の類は【基本】使用しない主義である。

理由は色々あるが、まぁオイル入れる所にはオイル以外の物を、燃料を入れる所には燃料以外の物を入れない、メーカーが開発時に設定した油脂類には意味がある、また耐久試験や性能試験はそれを使用するのが前提である・・・ただそれを尊重したいのである。

だけど、これはどうだ?
面白そうだぞと気になった物がある。

「丸山モリブデン」

である。
最近某動画サイトで一躍有名になったアレだ。
そもそも、モリブデンなる物はかなり昔から存在し、潤滑剤としては古の部類である。

モリブデン?

モリブデンと聞くと、あの黒っぽいモリブデングリスを思い浮かべるのではなかろうか?ホビーラジコンを齧った人なら田宮模型からも販売されている(モリブデングリスとセラミックグリス、用途によって使い分け)

他には・・、自転車のフレームや競技車両のロールケージに使われる通称クロモリと言われる鋼管(鋼材)、クロム・モリブデン鋼である。
前者は潤滑剤としてグリスに添加され、後者は合金鋼の添加元素として利用されている。

【モリブデン】
銀白色の硬い金属(遷移金属)。
常温、常圧で安定な結晶構造は体心立方構造 (BCC) で、比重は10.28、融点は2620 °C、沸点は4650 °C(融点、沸点とも異なる実験値あり)。
空気中では酸化被膜を作り内部が保護される。高温で酸素やハロゲンと反応する。アンモニア水には可溶。熱濃硫酸、硝酸、王水にも溶ける。原子価は2価から6価をとる。輝水鉛鉱(MoS2 など)に含まれる。資源としては、アメリカで約30%、チリで約30%など、北南米で世界の過半数を産出している。(wikpediaより抜粋)

金属なんだって。

潤滑剤としてのモリブデン

モリブデンは比較的低コストで金属面にしっかり被膜を作り、摩擦低減効果が高いことから歴史は古く、そして広く使用されてきた。

さて、その潤滑剤としてのモリブデンには「液体のモリブデン」と「固体のモリブデン」の2種類がある。

それぞれ特徴を簡単にまとめると以下のようになる。

【有機モリブデン(MoDTC・MoDTP等)】=液体
化学合成で製造された液体のモリブデンで一般的にオイルに添加して使用する。よって添加剤として自動車メーカーのオイルに最初から入っている(全部が全部じゃないかも)。

また、カー用品店で売られているオイル添加剤で商品名に「モリブデンなんとか」という文言があれば多くはこれになる。

潤滑の仕組みは、オイルに溶け込んだモリブデンと硫黄が化学反応し、二硫化モリブデン(Mo+2S=MoS2)を生成し、摩擦低減と摺動部の直接接触の頻度を減らすとされている。当然、オイル中の硫黄量が大事で硫黄と結びつかないと効かない。

【二硫化モリブデン(MoS2)】=固体
通常、モリブデンと言うと二硫化モリブデンを指す。固体といっても、二硫化モリブデン(MoS2)の原料粗粉末をさらに微粒子(パウダー状)に粉砕したものを使用する。よって有機モリブデンとの違いは、二硫化モリブデンが不溶性・不活性であるため、オイルやグリスに添加した場合、溶け込まずオイルやグリスの中で”浮いている”状態にある。粘度が低いオイルに添加した場合は当然のごとく時間の経過とともに二硫化モリブデンは沈殿する。
潤滑の仕組みについての説明する前に、前出の「丸山モリブデン」はこちらの二硫化モリブデン(固体)の方である。

ということで以下、二硫化モリブデンについて掘り下げる。

二硫化モリブデンとは?

二硫化モリブデンは固体潤滑剤として卓越した摩擦係数を持っており、一般の潤滑剤では十分な潤滑効果が期待できないような過酷な条件下で優れた効果を発揮し、グリース、オイルなどの油脂製品、樹脂、ゴム部品、摩擦剤(ブレーキパッド等)などの原材料として幅広く使用されている。

【潤滑のメカニズム】
二硫化モリブデン(MoS2)は光沢のある鉱物で、分子層は1μmの厚みで粒子は1600枚の薄片が重なりあった層状構造をなしている。
荷重をうけると、これらが一定方向にずれるためよく滑る(ミルフィーユのような薄い層を作りこれが横滑りして摩擦を減少)潤滑剤と言われている。

例)重ねたトランプを上から手のひらで押しつけたまま横にずらすと、層状に積みあがったトランプが滑りズレることによって手が横に動く。

このように、固体で不溶性であることからオイルに添加してもオイルの性質を変える事が無い添加剤で、金属やゴムの表面に付着する事によって効果を発揮する。

【気を付ける事(デメリット?)】
オイルに溶けず、固体のまま浮遊し、金属表面に付着するため、当然二硫化モリブデンを添加したオイルは黒く、それを注入した、例えばT/M内部も黒くなる。(二硫化モリブデンが表面に付着するため)

また、添加量も注意が必要。入れすぎはオイルの耐久性を悪化させ、またスラッジとなりオイルを劣化させる可能性がある。

それと当然だが、基本的に自動車メーカーでは添加剤として二硫化モリブデンのような「固体潤滑剤」 (”セラミックス”や”テフロン”なども含まれる)を使用しての不具合に対する保証はしていない可能性がある。
※最新の高性能なエンジンには使用しない方が良いかも

ざっくり判ったところで

スイフトスポーツのT/Mに噂の丸山モリブデンのギヤオイル用を入れてみようかな、、、そう考えた動機は、依然騒々しい我がキイロ号のT/Mに、メーカーHP上に記載してある一文↓↓↓

「~~~弾衝効果により、ギヤのうなりや作動音を軽減します。」

があったからに他ならない。
でも、本当のところどうなんだろうか??
実際に入れている人など身近にいないし・・・ちょっと不安、誰かに背中を押してもらいたい。。。

そんなことを考え始めた時、こういう類の相談だったらこの人!という方が居ることを思い出しコンタクトをとる。

貴重なお話を聞き、益々興味が湧く。

「なら実際に体験されたろ良かろう」
「手持ちのモリブデンパウダーを一回分送りますよ」

という事で、”丸山モリブデン”を買う前に、お言葉に甘えて、その方が直接○○より買い付けた二硫化モリブデンパウダーを譲って頂いた。

因みに、本家とは粒子サイズが異なる(大きい)とのことだが、T/Mに使用するならば問題は無い。

今回使用する二硫化モリブデンパウダーのスペック

早速添加してみる

T/Mオイル交換は、通常ユーザーがDIYで行う想定にない。
よって付帯作業もエンジンオイルの比ではない。

使用するギヤオイルは整備手帳に記載されている粘度及びグレード、量を用意する。ちなみに、規定量は1.67Lと少ない。これで6速T/Mとデフを潤滑している。

頂いた二硫化モリブデンパウダー。
規定量が2L位と伝えていたため、少し大目の25g。但し、後で判るが歩留まりが悪く、実際は丁度良いとされる10%(17g)は添加されたと思いたい。

小さいオイルジョッキ内で攪拌する。
画像の様に真っ黒なオイルに変わる(実際は黒い色はモリブデンパウダー粒子)

お借りした画像だが、このように掻き混ぜ棒にモリブデンがビッシリ付着する。当然、これは濃度が濃い状態だが、T/M内で歯車がこの状態になると思うと、ワクワクすっぞ!!

という訳で、無事規定量1.67L、二硫化モリブデン添加率約10%のT/Mギヤオイル交換が完了した。※交換手順は割愛

どうなんだ?!インプレッション!

まぁ、効果が無かったり、逆に酷くなったら抜いて新しいオイルに交換すればいいや、そんな覚悟?気持ち?お試し案件である。
メリットあったらラッキー!

という事で添加して2週間して経過した現在のインプレです。

1)どーなんだ?
先ず、新油効果もあるので当然といえば当然だが、シフトの入りが良くなった。変な引っ掛かりが消えたという方が判りやすいかな?
走り出しも、まぁ新油だしと厳しめに見ても、何と言うか高級なオイル?を入れたような気分は味わえる。(使ったオイルは1500円/LのGL-5)

2)ノイズは減ったのか?
確かに、ジャージャー音やギヤ鳴りの音自体は消えてないが、角が丸くなった様な、あまり耳障りではない(と思う)⇒日が増すにつれ、確信に変わる。これは先の相談した師も同じような事を言っていた。
これだけでも添加して良かった。

3)走行性能に変化はあるか?
正直、駆動系が軽くなったとか、出出しが良くなったとか、FFのT/Mオイル交換だけでは何も変化は感じられないかもしれない。よって変化無し。

・その他、長期的にみてどうなのかはまだ1000kmちょっとでは判らず。

・朝一車動かした時、T/Mギヤケースの底に沈殿したモリブデンが攪拌されるイメージ映像が脳内で再生される。

・フルブーストの全開加速をした際、T/M内の歯車と歯車の接触表明で二硫化モリブデン粒子が磨り潰されツルンとなるイメージ映像が脳内で再生される。

という訳で、どうせあと数千kmで3年6万kmの保証が切れてしまうワタクシの場合、二硫化モリブデンは良いかも?という内容でした。

MetabonZ

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