安倍首相が星野源氏の「うちで踊ろう」ムーブメントに乗っかろうとして大炎上しています。「ほかにやることがあるだろう」「優雅で良いご身分だな」と、炎上した理由は様々ですが、一番の原因は首相あるいはその取り巻きの方々が、星野氏の「意図」を読み違えていたからに他ならないと思います。
そもそも、この「うちで踊ろう」という曲、歌詞の意味は「Dancing at the inside」、つまり自分の内側、もっといえば、それぞれの場所で踊ろう、頑張ろうという意味だそうです。現在「家にいたくとも働きに出なければならない人々」のにあてて書かれていると本人がラジオで語っています。
その心意気に賛同したアーティストや芸能人がコラボ動画をアップして、一大ムーブメントにになっているのです。
そこに「うちで踊ろう」の意味を履き違えた安倍首相の「のんびりペットとくつろぐ」動画が、見ている人の神経を逆なでしてしまった・・・・
さらに言えば補償なき休業要請など「セコい」日本政府に失望、怒りが高まっているこのタイミングに・・・・
なんとも情けない話ですが、動画一つにヒステリックにならざるを得ないほど、事態はひっ迫しています。経済的にも精神的にも。
目に見えない敵だからこそ、いまだに自覚のない人もいます。
私事ですが、ついに筆者もテレワークになりました。
この苦境を乗り切るために Stayhome です。
Metabon宮
こだわりを持つこと
こだわりとは、「ひとつのことについて強い思い入れを抱いたり、執着すること。」(weblio辞書より)です。
みなさんもそれぞれ「これだけは譲れない」というこだわりがあると思います。
こだわりとは言い換えれば「執着」ですから、これを持つことによって実は苦しかったり、つらい思いをすることがあります。
なぜつらいか。それが実現できないことが苦痛だからです。
だから、心理学的には「執着は手放した方が楽になれる」と言われています。
筆者についていえばクルマを選ぶときには強いコダワリがありました。
「足回り」を含めた「乗り味」です。
いかに自分の感覚とマッチするか、気持ちよく走れるかという点に強いコダワリがありました。
その乗り味を一番に追及していくと、どうしても「輸入車」に目が行ってしまいます。
乗ったことのある方ならお分かりだと思いますが、やはりドイツ車、フランス車、イタリア車、それぞれ強いキャラクターがあり、乗り味があり、国産車にはない「何か」が備わっているのは確かです。
しかし、家族もいる中で輸入車を所有し、維持していくことの困難さを一度経験するとなかなかもう一度所有しようという気持ちにもならなかったりもします。
ダンパーをはじめ、ブレーキローターや様々な走行にかかわる部品を「消耗品」として考え、「乗り味」を維持するために交換していくという考え方と、国産のように、例えば20万キロは問題なく走れるけど、一斉にダメになる考え方(ざっくりしすぎですが)とクルマに関する思想が異なるので一概にどちらがイイとは言えないのです。
(現在はかなり事情も変わってきたようですが、消耗品の考え方などは国産とは違います)
そして筆者は長いことその「コダワリ」を捨てて暮らしてきました。
正直かなり楽になったのは間違いないです。
そのコダワリを捨てることで国産ミニバンの使い勝手の良さも知ることができました。
おそらく「乗り味が」「走りが」とこだわりを捨てなかったら絶対乗らないクルマだったと思います。
その「コダワリ」がピークだったころにこれだ!!と飛びついて買ったのがこのクルマです。
こだわりを「ウリ」にした国産車
写真は、かつての筆者の愛車マツダ・ランティス 4ドアクーペタイプR。
・全長×全幅×全高:4245mm×1695mm×1355mm
・ホイールベース:2605mm
・車重:1230kg
・エンジン:V型6気筒DOHC、1955cc
・最高出力:170 PS/6,500 rpm最大トルク:18.3 kg・m/5,500 rpm
燃費:10.6km/L(10・15モード)
・価格:197万8000円(1996年式クーペ タイプR 5MT)
その発売当時のスタイリッシュなデザインに一発でヤラれ、かつ、欧州車に引けを取らない走行性能、特に新開発のV6エンジンとニュルブルクリンクで鍛えられた足回りに心が躍ったのを覚えています。
当時、バブル経済が破たんして景気が冷え込んでいたこともあり、マツダの人気は地に落ちていました。(多チャンネル展開も失敗)
そんな中登場したランティスはまさに「掃き溜めに鶴」ともいうべき輝きを放って見えたのです。
価格も現在の感覚で言うとちょうど我らがスイフトスポーツと同じようにこれだけのスペックでこの値段でいいの?というバーゲンプライスでした。
今にして思えば、「欧州車へのコンプレックスを倍返し」しようと企画されたクルマのように思います。
スペックが全て「国産ライバル」にはないものだったのです。
衝突安全高剛性ボディ。ニュルで鍛えた4輪独立サス、フィーリングを重視したV62000のエンジン。4人がくつろげるクーペボディ。
乗ってみても、そのエンジンの滑らかさ、吹きあがりの気持ちよさは筆舌に尽くしがたいものがありました。燃費は7km/Lとかなりの大食いでしたが、ガソリンも安かったのでそれほど気になりませんでした。
そして特筆するのは足回り。当時205/50-16のポテンザを履きこなし、硬いのにしなやかな足回りにとにかく驚いたのを覚えています。正直、記憶が確かなら、ZC33Sの足回りより良くできていたのでは、と思っています。
もちろん、スペック的にも、FF車では現在はほとんど採用されなくなった4輪独立懸架のサスペンションなど時代的なものもあります。
剛性感のあるボディの下で足回りだけがひたひたと動くこの感じはまさにドイツ車のそれでした。
今見ても白眉のデザイン。スパークルグリーンメタリックのボディカラーに街行く人が振り返りました。
開発者、メーカーのコダワリを前面に押し出したクルマだったと思います。
しかしこだわりは先ほどもふれたとおり「ある種の執着」ですから、それに賛同できればハマりますが、琴線に触れなければやっぱり売れないのです。
スタイリッシュで、高性能で、しかも安い・・・・と三拍子そろっていても売れなかったのです。デビューが早すぎました。
今、マツダ3のデザインが絶賛されているのを見ると余計にその思いが募ります。
スイフトスポーツにはコダワリがつまっている
10数年のブランクを経て再びクルマへのコダワリ熱が再燃した筆者。
それはこのスイフトスポーツがかつてのランティスのように心の琴線に触れるこだわりに満ちていたこと、そして何よりも「手が届く価格だったこと」が大きいです。
走りだしてすぐにわかる、足回りのしなやかさとそれを支えるボディの頼もしさ。
誰もが扱いやすい直噴ターボユニット。
そして、低価格ゆえに「隙を残してある」ところ。
足りないところを「なんとかしたくなる」絶妙なつくり。
コダワリがある人にはたまらないクルマになっているのです。
コダワリがあると、なかなか思い通りにならない苦しみがありますが、それを克服した時の快感もひとしおです。
みなさんもぜひ、自分だけのコダワリを持ったカーライフを過ごしていただければ幸いです。
Metabon 宮
自動車物書きユニット MetabonZ。
理系と文系の著者による「わかりやすさ」「読みやすさ」を目指したブログです。
豊富なクルマ遍歴と謎の知識量。日々頑張ってます。
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