CAFE(corporate average fuel efficiency)とは、「企業(別)平均燃費」のことである。アメリカでは自動車製造企業ごとに企業平均の燃費を算定し、その燃費が基準値を下回らないように義務付けられている。(wikipediaより)
欧州燃費規制なんて、我々に全く関係ないワイとは言い切れないことに最近気づいた筆者です(笑)。
これと我らがスイフトスポーツにどんなつながりがあるかを見ていきましょう。
metabon宮
今すぐに「走るクルマ」を手に入れよう!
いきなりで恐縮ですが、走りが楽しいクルマを手に入れるなら急いだ方が良いかもしれません。
新車で、我らがスイフトスポーツのような純ガソリン車かつ、高出力の「走るクルマ」がまたさらに苦境に陥る事態が見えてきたのです。
それが欧州燃費規制CAFEです。
CO2の排出量を削減させるための政策ですが、CO2量は燃料消費と比例しているので、燃費の良いクルマ、例えばハイブリッドやEVがたくさん売れるようにしていきたい、というものです。
CAFEにおいての優遇されるクルマはハイブリッド、PHV,EV、クリーンディーゼルなど、日本で言うところの「エコカー」に相当します。
しかし、今回の規制でいままでよりさらに厳しいものになってしまいました。
CAFE2020の厳しさ
さて、欧州で「スイフトスポーツハイブリッド」が発売されたのは既にご存知だと思います。
なんで発売されたばかりのスイフトスポーツをハイブリッドにしなくてはならなかったのか・・・
概要は以下の通りなんですが・・・・
自動車メーカーは企業単位で販売車両のCO2の排出量平均値を算出され、基準を達成できなければ巨額の「クレジット」を買わなければならない。その金額はすぐに数十億円単位になる。CO2の排出量は燃料の消費量とほぼ比例的関係にあるので、CAFE規制をクリアするということは、とりもなおさず燃費を良くするということでもある。
ITメディアビジネスオンラインより
具体的には1台につき1km走行するのに95gしかCO2を排出してはいけない、というもの。その95gをオーバーすると、1gごとに約12000円のペナルティを支払わなくてはならないのです。(2019までの規制では1kmあたり130g以下でよかった)
本当にざっくりいうとJC08モードでリッター当たり20km/L走ればクリアーできるそうです。多くのハイブリッドやPHVなどは余裕でクリアできる値です。しかし「走るクルマ」でそれをクリアしているクルマはほぼなし、です。(ハイブリッドでもよく走る、とかは置いておいて)
例えばマツダ3のスカイアクティブX搭載車はCO2排出量は96g/kmです、ギリギリ基準をクリアーしていませんが、一台売るごとに約10万円のクレジット払わなくてはいけないそうです。(ベストカーより)
これが2020年より、欧州で先行実施されたのです。
「欧州での話か」ではなく、大体これに準じた基準で日本も規制を行うことになります。
罰則で支払うクレジットは、何千、何万台も売るのですから莫大な金額になります。それを直接車両価格に転嫁するかは明確ではありませんが、企業の経営を圧迫します。結局、車両の価格というものに跳ね返ってくることが予想されます。あるいは、燃費の悪いクルマは作らない、売らない・・・・となることが見えてきます。
今回欧州から始まったこの規制、実は日本のメーカーでは「トヨタ」しかクリアーできていないとのことです。
なぜ、トヨタがクリアできたかというとハイブリッド車の販売比率が非常に高いということがあります。(約40%)
ハイブリッド車は純ガソリン車と比較して燃費が良く、結果CO2の排出量が少ないので、たくさん売れればそのぶん、メーカーに余裕が生まれます。
その余裕の部分で、燃費のあまりよくないハイパフォーマンスカーを生産する、という図式が見えてきました。
我らがスイフトスポーツがハイブリッド(48Vマイルドハイブリッド)化された背景がお分かりいただけたでしょうか。
純ガソリンで燃費が16.4km/Lでは、欧州で売るだけで罰金を払うことになる。だから、苦肉の策で手持ちのハイブリッドシステムを搭載した、ということになったのだと思われます。
当然、売りの一つであった「1トンを切る車重」ではなくなりましたし、エンジン単体での最高出力も下げられました。ISGモーターの補助でシステム出力が約140PSとなっています。それでも「あれこれ」言っていられなくなったのが実情です。
つまり今のスイフトスポーツは貴重
政府の試算では2030年までに現在の自動車の販売比率を70%以上、次世代カー(ハイブリッド、PHV、EVなど)にシフトさせようとしています。つまり、我々が乗るハイパフォーマンスなガソリン車は生存が難しくなってきました。
近い将来我々のZC33Sスイフトスポーツもハイブリッド化が決定しています。
軽快なK14Cだけの純粋なスイフトスポーツはまさに「今だけ」の限定になるのです。(1トン切りについてはいじると簡単にオーバーするのであまりこだわらなくてもいい)
バッテリー残量?そんなもん気にしてられるかっ!!
アクセル踏んでぶん回してこそ漢だ!!
・・・・そんな時代は終わりを告げようとしています。
もちろん、時代に逆らっても仕方ないですし、ハイブリッド、EV、PHVを否定しているのではありません。燃費が良くなり、CO2が削減されるのはイイことです。やがてEVスポーツも・・・
しかしながら、オジサン世代的に一抹の寂しさを感じるのも事実です。
この排ガス規制が進めば、CO2を多く出すスポーツカーは、高価なクレジットを払ってでも手に入れたい「プレミアム」なものになっていくと思われます。既にトヨタのG’sやGRで、スポーツがプレミアム化しています。やがてコンパクトスポーツも、純ガソリン車は生き残れなくなります。
いずれにしても近い将来、純ガソリンのスポーツカーが貴重な存在になることは明白なようです。
今乗っているみなさん、これから買うみなさんも、スイフトスポーツ、大事に乗りましょう。「今を大事に」いきましょう。
Metabon宮
自動車物書きユニット MetabonZ。
理系と文系の著者による「わかりやすさ」「読みやすさ」を目指したブログです。
豊富なクルマ遍歴と謎の知識量。日々頑張ってます。
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