ZC33S コラム

【試乗】新型ソリオ・バンディットに乗ってきた【レポート】

3連休、いかがおすごしだったでしょうか。不要不急の外出は・・・ってもう耳タコですよね。増え続ける感染者数と緊迫する医療の状況を横目に見つつ、日常生活は続いています。緊張感も長引けばやはり疲れが来ます。・・・・・負けないように頑張りましよう。

さて、先日ディーラーに用があって行った際、営業マン氏より、ぜひ乗ってほしいとのことで試乗したのは、先日フルモデルチェンジしたばかりの新型ソリオのバンディットの方です。
我々子育て世代や、高齢の両親の乗り降りが楽なスライドドアが必要、という家庭にもってこいのいわゆる「生活支援車」であるこのクルマ。
今回で4代目になるそうですが、果たしてどんなデキなんでしょうか。

日本の(ていうか地方の)生活支援車が刷新!

上がソリオ、下がソリオ・バンディット。※写真はwebモーターマガジンより転載

●全長×全幅×全高:3790×1645×1745mm

●ホイールベース:2480mm

●重量:1000kg

●パワーユニット種類:直4 DOHC + ISG

●排気量:1242cc

●エンジン最高出力:67kW<91ps>/6000rpm

●エンジン最大トルク:118Nm<12.0kgm>/4400rpm

●モーター最高出力:2.3kW<3.1ps>/1000rpm

●モーター最大トルク:50Nm<5.1kgm>/100rpm

●トランスミッション:CVT

●WLTCモード燃費:19.6km/L

●タイヤサイズ:165/65R15

●税込み車両価格:202万2900円

1997年のワゴンRワイドがそのルーツだというソリオ。
つまり、初代は軽自動車のストレッチ版だった(初代スイフトも確かそう)のは知る人ぞ知る話ですね。今回で4代目となります。

今回のモデルチェンジでいわゆるフルハイブリッドがラインナップから外され、1.2Lデュアルジェットエンジン+ISGのマイルドハイブリッドとハイブリッドなし、それぞれFF/4WDを選べる、というラインナップになりました。
スズキのフルハイブリッドはシングルクラッチAGSという特殊なATでしか選べないこと、4WDが選択できないことなどから需要がなかったとのこと。
スイフトのフルハイブリッドは非常にイイクルマでしたよ)

気になる燃費はWLTCで19.6km/Lとこのクラスとしては平凡な数値。
この生活支援車というカテゴリーは燃費が最優先されるファクターではないことが分かります。

主要諸元からわかることは、先代モデル(2015年発売の3代目)に比較して全長で80mm(バンディットは70mm)、全幅で20mm拡大されていること。徐々にサイズアップを繰り返しています。

それでも我々のスイフトスポーツより100mm短く、幅も5ナンバー枠(1695mm)よりナローで、かなりコンパクトなことがわかります。

初代は軽のプラットフォームをストレッチした名残で全幅が狭いのは分かるのですが、なぜ5ナンバー枠いっぱいにしないのかが疑問でした。
しかし世の中には「軽じゃだめだけど小さくないと困る(道が通れない・車庫に入らない)」という人も結構な数いるということ。絶妙なサイズ感はこのクルマの武器です。

世間を見渡すとどうです?(特に地方都市にお住まいの方)
かつては5ナンバーフルサイズのミニバン(ヴォクシー・ノア、ステップワゴン、セレナ等)が全盛でしたが、それに代わって軽のトールワゴンの圧倒的な存在感を示しているのはご存知の通り。

正直3列目は要らないから、スライドドアの広いクルマがいい!
そんなニーズを開拓したのがミニ・トールワゴン。

 スーパーなんか大げさに言って6割はその類のクルマばかり。もちろん、ソリオなどのコンパクト・トール・ミニバンも結構な数が生存しています。

ソリオは軽自動車は嫌。コンパクトだけど広大な室内空間+スライドドアが欲しい!というファミリーの要求を満たした、新時代のジャパニーズオリエンテッドカーなのです。

ライバルは、後発のダイハツ開発による、トール、タンク、スバル・ジャスティ。
1リッター3気筒がメインのライバルに比べ、4気筒ハイブリッドの上質感で勝負をかけます。

伸びた全長はすべて「荷室の拡大」に使われていることがポイントです。
これは市場からの「居住性は十分だけど、もっと荷物積めるようにして」という要求からだったそうです。

確かに広くなった!

新プラットフォーム「ハーテクト」を採用

筆者(Metabon宮)的に一番知りたかったのが、我らがスイフトスポーツと同じ新世代プラットフォームを採用したのかどうか。

結論から言えば名前は同じハーテクトなんだけど、イメージ的には前モデルのものを改良してストレッチしたものだそう(営業マン氏談)。
従来モデルで「やり尽した」とも解釈できますし、スイフトなどの走りに特化する必要がなかったとも考えられます。
まあどうでもいいことではあります(笑)

試乗してみたよ

試乗車はバンディットのハイブリッドMZ。

小難しい話は置いておいて、乗ってきました!
今回はソリオよりワイルドな顔つきのソリオ・バンディット。

ぱっと見た印象は、3代目と比較して、お顔の造詣が立体的になって質感が増した・・・ような気がする・・・という感じ。ボンネット高を70mm高めたとのことで「堂々とした押し出し感」が出ているそうな。

あと、リヤがストレッチされたのは見ただけですぐわかるポイント。

リヤには大型のスポイラーとメッキのベルトライン。どのメーカーも似ております。

さあ、ドアを開けて乗り込みます。肩から上がとにかく広い!!
普段スイフトスポーツに乗っていると余計そう感じますね。

すっきりとして上質感のあるインパネまわり。センターメーターレイアウト(これって個人的にはあんまり必要性を感じない)に9インチの工場装着ナビゲーションシステム。※写真はソリオ

広大なリヤシートの足元。スライドで荷室の広さを変えられるのは従来から。

運転してみると

走り出して目新しいのはホップアップするヘッドアップディスプレイ。
メーターに視線を落とさずとも必要な情報が確認できるスグレモノ。
確かに見やすくていいんだけど、
・・・・センターメーターやめればいいんじゃね?とか思ったのは内緒(笑)

バンディットは内装の差し色にボルドーを採用。ソリオのアイボリーより落ち着きがありますね。

1.2Lのデュアルジェット(1気筒にインジェクターが二つ)エンジンは低速からトルクフル、というかISGのアシストもあって、街中ではスルスルとスムーズに走り出します。

ステアリングもスイフトスポーツほどクイックではないので、高い全高の上屋が振り回されることもありません。非常に穏やかなハンドリング。
個人的にはステアリングのグリップが細くて好み。

非常に視界が良く、とにかく「運転しやすい」という印象。
アップライトな乗車姿勢もあり、明るくてさわやか。

乗り心地は・・・・・

営業マンさんと二人乗車で乗っている限り、非常に良好であります。
変な突き上げ感や、ボディがワナワナ・プルプルするようなこともなく、この手のクルマはこうなんだ・・・・という走り。

ダンロップのエナセーブEC300



タイヤの設定も良心的。165/65-15という細めのサイズでいたずらに見た目を良くしようとはしていません。(特殊サイズなのは確かだけど)

加速が必要になると結構踏み込まないと加速しない感じはあります。
CVTのため、エンジンが高回転に張り付いて「ブモー」と唸ってしまうのは1.2L故仕方ないところ。
ちなみに加速時にはISG(補助モーター)は使えない(発進時のみ)とのこと。もちろん、そういう走りをするクルマではないのですが。

家族満載(4~5人乗車)ではどんな感じなのかはわかりませんが、個人的にはもう少しだけパワーが欲しいなと思いました。

で、正直に言うと「新車だ!スゲー!」という感じがないのも事実。

いや、きっとそれでいいんでしょう。皆さまが求めているのはそこじゃない。
快適で広大な室内空間と使い勝手。これがすべてでありますです。

訴求ポイントは?

①安全面の充実 スズキセーフティサポートの最新型を搭載。
 ACCが全車速追従に。また、メーター画面に道路標識を表示したり、複数車線走行時の後方車両をモニターする機能を搭載。
 車両の周囲360°を俯瞰した情報をカメラ映像で確認できる機能も搭載。死角に小さな子供がいないか、など非常に役立つ機能です。
②快適装備の充実
 小型サーキュレーターを天井に装備

冷風をリアに効率的に届ける!!お金をかけずに最大の効果を、というスズキイズム。

他にスライドドアに予約ロック機能を搭載。
スライドアが閉じるのを待ってロックする・・・必要がなくなったという便利な装備。その他後席サンシェードなど細やかな気配り装備が充実。

まとめ

気になるお値段は訴求グレードのハイブリッドMZで車両本体で202万。工場装着ナビ付きで221万(販売店で異なります)ほど、とお得感がかなり強い価格設定になっています。乗り出しで240万くらい。

軽のトールワゴンもターボのハイグレードならもっと高くなるくらいなので、納得できる設定です。

先進の安全装備や快適装備を追加しても先代とほぼ変わらない価格設定はやはりスズキの企業努力でしょう。

子育てや家族の送迎、日々の買い物など、乗り降りや使い勝手を最重要する時期に活躍するまさに生活支援カー。

走りの性能うんぬんを語るクルマではありませんが、乗る人、使う人を思い、真摯に作り上げた、そんな印象を受けた次第。

タンクとかトールとか似た形のクルマはありますが、正直、比べれば全然志が違います。スズキ、細かいところまで実に真面目につくってます。比べればわかるソリオの良さ。(比べなきゃわからないのが辛いところ)

必要としている方はぜひ、乗っていただきたいであります。

ちなみに筆者(Metabon宮)は家族車としてステップワゴン(現行)を所有しておりまして、日々その使い勝手の良さに感銘を受けています。スライドドア・ミニバンは便利さから言うと無敵です。
まあ、運転して楽しいもんではないですけどね(笑)

MetabonZ

自動車物書きユニット MetabonZ。
理系と文系の著者による「わかりやすさ」「読みやすさ」を目指したブログです。
豊富なクルマ遍歴と謎の知識量。日々頑張ってます。
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