ZC33S コラム

【今さら】タイヤの基本#1【聞けない】

Metabon石です。
このブログを開設する際、宮氏は広くバラエティに富んだ、皆が知りたい!と思うような記事を、対し、自分はやや技術的な内容を地味に掘り下げる記事を、ということで担当分けしたわけだが、先ずはEDFCの素晴らしさを、次にボディ補強をと連載を重ねつつ、時々単発で何かテーマを決め投稿するという構想は最初からあった。

ただし。
エンジンオイルとタイヤについては、実はそれだけで一冊の本になるくらい奥深いものであり、とてもおいそれと掻い摘んで適当に記事にして投稿!とはならない事は判っていたので、この二つのテーマには触れないでおこうと宮氏には内緒で決めていた。

そんな中、私事だが、近々タイヤを新調しようとしている。

タイヤを買う際、

何に重きをおいて決めるのか?
プロファイル?
やはり値段??
買ってから後悔したくないよね?

と、久々に悶々としている。
やはり一番気になるのは性能(ドライグリップ、ウエットグリップ)、静粛性、乗り味、ライフ、そして値段ではなかろうか。

昨今、値段も手ごろだが性能もまずまずというアジアンタイヤの台頭も著しいが、本当に信用しきって良いものなのか?国産タイヤとアジアンタイヤの違いは何か?値段の差は何なのか??を探っているうちに、タイヤの記事を書きたくなってきたのである。

という事で、先ずは基本中の基本から。

タイヤサイズ

もう皆さんご存知ですよね?
画像はタイヤのサイズ表記(ISO方式)になる。

215/45R18と書いてあれば、幅が215(mm)で、扁平率が45(%)、Rはラジアルの意味で、リム径が18(インチ)。

扁平率は、扁平比×100、扁平比はH÷W、Hはタイヤの断面高、Wはタイヤの断面幅で求められ、数字が小さいほどタイヤは薄くなる。

大体この数文字を聞けば大きさ等がイメージできるっていう人は結構いると思う。
では、その後ろの93とWはご存知だろうか?

91はロードインデックス、Wは速度記号を示す。ロードインデックスと速度記号はタイヤ(の銘柄)によって異なる。

速度記号は下記表の様に定められており、

Wの場合は最高速度(上限)が270km/hとなる。日本国内の公道であればH以上あればまず問題ないという事になる。

で、91というロードインデックス、これは何だ?と言う話になる。
今回はこのロードインデックスについて説明する。

ロードインデックス

ロードインデックスとは、タイヤ一本で支えることのできる最大負荷能力を示す指数である。当然、数値が大きければ最大負荷能力も高くなるのだが、話はそう単純ではない。

ロードインデックスの数値は最大負荷能力を示す指数だが、それには空気圧が大きく関係しており、このロードインデックスにより負荷能力に対する空気圧が決められている。それが一般社団法人 日本自動車タイヤ協会(通称JATMA)の、JATMA「タイヤ空気圧~負荷能力対応表」(下表)である。

もう一つ注意が必要なのが、タイヤによって、エクストラロード(XL)/レインフォースド(RFD)規格というのがあることだ。 エクストラロード(XL)/レインフォースド(RFD)規格 のタイヤとは、スタンダード(STD)規格タイヤと同じサイズでも高い負荷能力を発揮できる様、タイヤ内部の構造を強化している。見分け方はサイズ表記の速度記号の後にXL又はRFDと書いてあり、又タイヤメーカーのカタログのサイズ表にも書いてあるので確認されたし。

選んだタイヤがXL(又はRFD)であった場合、必要空気圧はETRTO規格の「空気圧~負荷能力対応表」(下表)からロードインデックスと負荷能力より必要空気圧を割りだす。

具体的な割りだし方は後述するとして、、、

純正タイヤ→違うタイヤに変更する場合

純正タイヤから、違う銘柄、サイズ、はたまたインチアップ(17inc→18inc)にする場合、このロードインデックスの数値が変わると、車重が不変というのが前提とする場合、必要空気圧が変わる。この必要空気圧を求めるのが「空気圧~負荷能力対応表」である。

求め方は純正タイヤが基準となる。まず、純正タイヤのロードインデックスと指定空気圧を元に、「空気圧~負荷能力対応表」 から負荷能力を割り出し、変更後のロードインデックスからその負荷能力に対応する必要空気圧を割りだす。当然、純正タイヤと変更後のロードインデックスが同じであればこの確認は不要で純正タイヤと同じ指定空気圧にすればよい。

ハイ、ここテストに出ますよ。

必要空気圧を求める例題

クルマをスイスポ(ZC33S)とする。

純正タイヤは、Continental ContiSportContact5の195/45R17 81Wである。

これを、PINSO PS-91の205/45R17 88W XLに変えた場合の適正空気圧を求めよ。尚、純正タイヤの指定空気圧は、前:230kpa、後:210kpaとする。

解き方わかる人?

1人、、、2人、、、3、、4、、、5人・・・・。

ハイ!
では一緒に解いていきますよ。

先ず、スイスポの要求負荷能力を算出する。
純正タイヤのロードインデックスが81、指定空気圧が前230kpa、後が210kpaとのことなので、この数値から「タイヤ空気圧~負荷能力対応表」より、負荷能力を割りだすと、

前:450kg・・・なのですが、195/45R17は※430kgf(Metabonz調べ)
後:425kg・・・なのですが、195/45R17は※400kgf(Metabonz調べ)

となる。
因みに、ZC33Sのタイヤ一本あたりの負荷能力前430kg、後400kgは覚えておいて損は無い。

負荷能力が判ったので、今度はPINSOタイヤのロードインデックスより適正空気圧を求めるのだが、PINSOは”XL”規格なので、テーブルが違う。XL規格は、ETRTO「EXTRA LOAD or REINFORCED 乗用車タイヤ空気圧~負荷能力対応表」より求める。

PINSOタイヤのロードインデックス88の負荷能力 430kgf、400kgfに適合する空気圧を求めるのだが、対応表にズバリ430kgと400kgが無い。この場合はその数値より下回らない一番近い値を読み取る。

ETRTO対応表より、前:430kgfより上で一番近いのが435kgf、後:400kgfより上で一番近いのが415kgfとなり、適正空気圧は、

前:210kpa
後:200kpa

となる。

どうだろう?もやもやが晴れてスッキリしたのではなかろうか?

タイヤは空気があってのもの

タイヤは「空気が入っていることで力学的に成立している」のである。つまりホイールに組まれたタイヤに空気を入れると内圧によりサイドウォールがパンと張る。パンと張ることにより張力剛性が生じる。このサイドウォールの張力剛性によって車軸(ホイール)を吊って空中で支えている。

よって空気、エア圧は肝心要なのである。

タイヤの能力を発揮させるには、その負荷に合った空気圧を充填する必要がある。

よく巷で、「エア圧なんぼにしてる?」なんて会話があると思う。
「とりあえず、ドア開けたとこに貼ってあるエア圧にしとるよ」と言うのは、偶然ロードインデックスが同じで正解となるかもしれないが、これを読んだ読者の諸君は明日から、

【タイヤのロードインデックスから負荷能力に合った必要空気圧を空気圧-負荷能力対応表から求めた圧にしてるよ~】

と涼しい顔で答えて頂きたい。

もう一つついでに、同じサイズでもSTD規格とXL規格ではタイヤの重さが違う。もちろんより高い負荷に耐えられるよう強化されているXL規格のタイヤの方が重くなる。

Aという高いタイヤとBという安いタイヤがあり、BのタイヤがXL規格であった場合、安かろう悪かろう的に重い!と言うのは実は意味が違う。

どうです?タイヤの話。
たかだか、サイズの話でこの有様ですぞ。

という訳で、次はタイヤの選び方編になります。






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