陸路とフェリーで九州へ
Metabon宮です。
筆者は自分のスイフトスポーツをGT(グランツーリズモ:長距離を快適に走れる)だと考えてカスタマイズしてきた。
ちょっと古い話で恐縮だが,年末年始を九州の田舎で過ごすために無謀にも千葉からスイフトスポーツで往復してきた。
もちろん,オール陸路はさすがに年齢的にも体力的にも無理なのはわかっていたので,神戸からフェリーに乗って九州に上陸,帰路はまたその逆のルートだ。
フェリーに乗る神戸まではざっと550km。なかなかタフな距離だ。
高速を飛ばしても,休憩を入れれば7~8時間以上はかかる。
それを往復してきた。
GTの条件は・・・
それでは本題。果たしてスイフトスポーツはロングツーリングに向いているのか、という話である。
筆者の考えるGTの条件は・・・・・
①高速道路を安全に快適に長時間走っても疲れないこと。
②航続距離が長いこと。燃費及び燃料タンクの容量の適正。
③ラゲッジおよびユーティリティが実用的であること。
結論から言うと、「一人,あるいは二人までなら」十分ロングツーリングに使える。
条件①については条件付きで合格。
直噴ターボエンジンの豊かなトルクが速度維持しやすく,フラストレーションがたまりにくい。ATも優秀。
ただ直進安定性と,乗り心地がそこまで良くはないので,休憩を多めにとるならの条件付き。
条件②については、残念ながらもう少し欲しい。37Lの容量では,残り7Lで給油するとして30L分しか走れない。高速燃費が15Km/Lとして450kmが限界航続距離である。せめて50LあればGTと呼べるが、コンパクトカーだし大目に見よう。
条件③については・・・・
リアのラゲッジ容量は265L。大型のスーツケース1つでいっぱいになる。スポーツバッグなら3つ。積み方次第だが,お土産なんかをあれやこれや積むならすぐにキャパオーバー。リアシートを倒して荷室にするか,キャビンスペースに荷物を置くことになる。
コンパクトカーなので仕方ないのだが、フィット,ノートなどと比べるとラゲッジは小さいことをお伝えしておく。
また,リアシートが実用的ではない。
スイフトスポーツのリアシートの居住性,座り心地,乗り心地は長距離には適していないと断言する。
夏に子ども2人(小学生)を乗せて往復1000kmのツーリングをして帰ってきたが,「もうスイフトではいかない」と言われてしまった。リアシートに座っているのがつらかったのだそうだ。お尻が痛くなる、と。
前にも書いたが,リアシートの簡便な造りを知れば納得の事実である。
(※足回りを交換する前からリアシートの居住性にはクレームがついていた。)
いざ高速の旅・・・
今回の帰省の旅は筆者単独で行くことになったので,スイフトスポーツのロングツーリング性能を検証するのに十分だった。
550kmをほぼ高速道で行く。東関東自動車道~首都高~東名高速~名阪国道~阪神高速のルート。路面状況も車の流れも年末ということもあり渋滞も断続的にあった。
エンジン性能,6ATのギア比などは連続高速巡航をこなすだけの性能を備えている。
100km/h巡航時の回転数は2200~2300rpm。ちょうどトルクが厚いところなので速度の調整がしやすい。そこからの加速も良い。
スピードはACCで100~110km設定で巡航。
参考までにメーター上の115kmはOBDメーター読みで105kmである。
セーフティパッケージについているACC(アダプティブクルーズコントロール)は先行車との車間を維持しながら追従走行できるもので,これは長距離走行にはもはや欠かせないアイテムだと痛感。
急な割り込みなどにもきちんと反応し,実用性は高い。雨天などの悪天候にも強い。
正直に言うとこのスイフトスポーツの直進安定性はあまりよろしいとは思えない。軽量ゆえに横風にも強くはない。
チョロチョロするとまではいかないが,矢のように直進するわけではない。
だから高速走行ではステアリング操作に少々神経を使う。つまり修正舵がいる。
それでもACCがアクセルとブレーキ操作の労力を軽減してくれるおかげでステアリング操作に意識を向けていられる分疲労度は軽減される。
静岡県を走るくらいまで,千葉から約300kmくらいまでは快適に走ることができた。
しかし、そこからが長く、つらかった・・・・
途中で仮眠や1から2時間ごとの休憩をはさみながら走ったが,だんだん休憩時間が長くなっていった。
年齢的なものも大いにあると思うが,快適だなと思って走れたのは300kmくらいまで。
筆者が考える原因は,直進安定性の低さとリアサスのストロークのなさによる底付き感があること。
想像してほしい。
ハンドルに手を添えているだけで走ることはできる。しかし,レーンキープアシスト(LKA)はレスポンスが鈍く,ちょっと人間の感覚とズレて修正舵を当てる。気持ち悪いので解除。すると細かい修正舵を自分で行いながら走る。
古い設計の高速道。ハイスピードで上下にバウンシングしながら進む。路面の鉄製の継ぎ目を連続して超えてゆく。ドシンドシンとショックが連続し、沈み込んだタイミングでもう一つ継ぎ目が来ると「ドガッ」とくる。これはなかなか堪える。
これが単発ならまだいいが,何度も何度もくると・・・・
また,距離が伸びてくるととショートホイールベースゆえのピッチングが気になり始める。フラット感がもう少しあれば疲労感も軽減されるだろう。
この辺が本物の「欧州車」とは異なるところ。
・・・・スイフトスポーツは「スポーツカー」であって「GTカー」ではない?
そんなことは十も承知。
筆者としては「GT的な使い方」がしたいのである。
ちなみに足回りは自慢のEDFCセッティングだが,基本的な「乗り心地」にはあまり効果はない。あくまで姿勢の制御やコーナリングなどのアシストをしてくれるデバイスだ。
結論 現状は「ややGT」
現状,スイフトスポーツはロングツーリングに耐えうる,いわゆるGTなのか,と問われたらちょっと自信なく「ややGT」と答えるだろう(笑)。
自信をもって言えるのは・・・
休憩をはさみながら片道300kmくらいなら非常に快適に走って帰ってこれる。
ということ。それ以上は「根性」と「気合い」と「体力」勝負だ。
主要諸元から読み取れるようにスイフトスポーツは「コーナリングマシン」の性格が強い。ひたすらまっすぐ走るなら別の選択肢がいいよ、なんていわれるかもしれない。
しかし,この心地よい乗り味を長距離でも味わっていたいのも事実。
ないものねだりかもしれないが、ロングツーリング性能も欲しい。
あくまで40台のオジサンが感じることなので,そこはご了承いただきたい。
では,ツーリング性能を上げるにはどうしたらいいか、はまた別の機会に。
Metabon宮
自動車物書きユニット MetabonZ。
理系と文系の著者による「わかりやすさ」「読みやすさ」を目指したブログです。
豊富なクルマ遍歴と謎の知識量。日々頑張ってます。
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